単なる心配性と何が違う?全般性不安障害(GAD)の症状と受診の目安
「仕事のミスが頭から離れない」
「家族に何か悪いことが起きるのではないか」
「老後のお金や健康が心配でたまらない」
不安は危険を回避したり準備をしたりするための自然な感情です。しかし、次から次へと心配事が浮かび、自分でも「考えすぎ」だとわかっているのに止められず、日常生活に支障が出ている場合、「全般性不安障害(GAD:Generalized Anxiety Disorder)」が関係しているかもしれません。
全般性不安障害(GAD)とは?
特定の一つのことだけでなく、仕事、健康、お金、家族、人間関係、将来など、日常生活のあらゆる出来事に対して過剰な不安や心配が長く続いてしまう病気です。
本来、不安は危険から身を守るための正常な反応です。しかし全般性不安障害では、現実の状況に比べて不安が大きくなりすぎたり、一つの心配が落ち着いたと思ったらすぐに別の心配が浮かんできたりして、自分の意志でコントロールできなくなってしまいます。
主な症状
全般性不安障害は「心配ばかりする病気」と思われがちですが、実際にはこころの症状だけでなく、身体にもさまざまな不調が現れます。
【こころの症状】
・些細なことでも最悪の結果を想像してしまう
・「考えても仕方がない」とわかっていても不安を止められない
・常に気持ちが張り詰めていて、リラックスできない
・集中力が低下し、仕事や勉強・家事が手につかない
・イライラしやすくなったり、何度確認しても安心できなかったりする
【身体の症状】
・疲れやすい、体がだるい
・肩や首の強いこり、筋肉の緊張、頭痛
・動悸、息苦しさ、めまい
・胃の不快感、腹痛、吐き気
・寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める
「単なる心配性」との違いと受診の目安
「昔から心配性な性格だから…」とご自身で抱え込んでしまう方も少なくありません。大きな違いは、「その不安によって生活や心身に支障が出ているかどうか」です。
【受診の目安】
医学的な診断基準では「過剰な不安や心配が6か月以上続いていること」が一つの目安とされています。しかし、6か月を待つ必要はありません。
・不安のせいで仕事や家事に手が回らない
・心配事で頭がいっぱいになり、夜眠れない
・家族や周囲の人に「大丈夫?」と何度も確認してしまう
・不安を避けるために外出や新しい挑戦をやめてしまった
上記のように「つらい」「日常に支障が出ている」と感じた段階で、いつでも我慢せずご相談ください。
原因について
全般性不安障害は一つの原因だけで起こるのではなく、複数の要因が組み合わさって発症すると考えられています。
【生物学的な要因】: 生まれ持った不安を感じやすい気質、脳内の神経伝達物質のバランス
【心理・環境的な要因】: 職場や家庭での人間関係のストレス、責任の重加
【環境の変化】: 転職、異動、結婚、家族の病気や介護、将来への経済的不安
明確なきっかけが思い当たらないケースも多く、どなたにでも起こりうる状態です。
他の不安症との違い
不安を伴う病気にはいくつか種類があり、症状が重なることもあります。
【パニック障害】: 突然、激しい動悸や息苦しさに襲われる「パニック発作」が繰り返し起こる。
【社交不安障害(SAD)】: 人前で話す・注目されるなど「特定の対人場面」で強い不安や緊張が生じる。
【全般性不安障害(GAD)】: 特定の場面に限らず、日常の「あらゆる出来事」に対して持続的に過剰な心配が生じる。
どのような治療をするの?
適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
1. 薬物療法
不安を和らげるためにSSRIやSNRI(抗うつ薬)などを服用します。「うつ病ではないのに?」と思われるかもしれませんが、これらは脳内の物質に働きかけ、不安症にも非常に高い効果を発揮するお薬です。効果が現れるまで数週間かかることがあるため、自己判断で中断せず医師と相談しながら継続します。必要に応じて抗不安薬を一時的に併用することもあります。
2. 心理療法(認知行動療法など)
不安を強めやすい考え方のクセに気づき、より現実的で柔軟な捉え方や対処法を少しずつ身につけていくアプローチです。
3. 生活習慣の調整
睡眠リズムを整える、適度な運動を取り入れる、カフェインやアルコールを控えめにするなど、自律神経を整えるセルフケアも大切です。
一人で抱え込まず、ご相談ください
「こんなことで受診していいのだろうか」と迷う必要はありません。受診したからといって必ず薬を飲まなければいけないわけではなく、まずはご自身の状態を整理するだけでも不安は和らぎます。
たわらクリニック東京・蒲田では、心療内科・精神科の専門診療を行っています。「頭の中から不安が離れない」「考えすぎて疲れてしまった」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。早期に適切な治療を開始することが、穏やかな生活を取り戻す近道となります。
【⚠️ご注意】
強い胸痛、息苦しさ、急激な体調変化などがある場合は、精神的な原因と決めつけず、まずは内科などの一般の医療機関をご受診ください。

