TMS治療(磁気刺激治療)について
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TMS治療(磁気刺激治療)とは?
薬を使わないうつ病などの最新治療法
TMS治療は、アメリカ発の最新のうつ病などの治療方法です。反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)を略したもので、厳密にはrTMSといいます。
これまで一般的であった抗うつ薬での治療法ではなく、磁気刺激で脳の特定部位を活性化させることで脳血流を増加させ、低下した機能を元に戻していきます。

副作用が少なく安全性が高いのが特長で、下記のような症状が見られる方にオススメの治療法です。
- 向精神薬の服用に抵抗感がある
- 薬を飲んでいるけどなかなか治らない
- できる限り早く治したい
- 薬の副作用が強くて服用継続が難しい
- 副作用による性機能障害に悩まされている
- 電気けいれん療法(ETC)が怖い
- 授乳中もしくは妊娠を考えている女性
- 長年飲み続けている薬をやめたい
治療期間も3~6週間程度と短く、これまで薬物療法で改善がみられなかった方にもその効果が示されています。
麻酔などの処置がなく、1回3~20分程の磁気刺激の間ほとんどリラックスした状態で治療を受けられます。
2012年にはNHKの特集番組で放送され、国内での注目も高まりつつあります。
TMS治療はアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を得ていますが、日本ではまだごく一部の医療機関でしか行われていません。
たわらクリニック東京及びたわらクリニック蒲田では、この最先端のTMS治療の中でも最新のiTBS(シータバースト刺激法)が受けられます。
従来のプロトコールと比べて効果、副作用は同等ですが、1回の刺激時間は3分強と大幅に短くなりました。
このiTBSは、興奮刺激処置を目的としており、従来のプロトコールより効果的だと言われています。
TMS治療のポイント
- 薬物療法などの、従来の治療とは全く異なる画期的な治療法
- 従来の治療法に比べ副作用がほとんどない
- うつ病などのメカニズム(脳の機能低下)に基づいた治療
- 治療期間が短い(3~6週間程度)
TMS治療のメカニズム
うつ病は心の問題ではなく「脳の疾患」とされています
古くから人の喜怒哀楽の感情は「心」がつくるものとされ、うつ病もまた心の問題とされてきました。しかし、近年の研究成果によって心の問題ではなく「脳」の問題であることが分かってきており、その中でも前頭前野にある背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」の機能低下がうつに大きく関わっていることが分かってきました。

- 背外側前頭前野の主な機能
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- 判断、意欲、興味をつかさどる
機能が低下することでやる気がなくなる
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扁桃(へんとう)体のバランスを整える
扁桃体は、不安や悲しみ、恐怖、自己嫌悪などの感情をつかさどる部分です。
扁桃体のバランスが崩れ、機能が低下することでこれらの感情が強く出てしまいます。
- 判断、意欲、興味をつかさどる
- 現代の医学では、この背外側前頭前野の活動が低下し、逆に扁桃体が過剰に活発し反応する状態を、うつ病のメカニズムと考えています。
なぜTMS治療(磁気刺激治療)がうつに効果的なのか

通常、正常な脳は図左のように黄色い部分(=活性化している)が多く見られ、活発に働いています。しかし、うつ病を発症している脳では図右のように青い部分(=活動が低下している)が多く、活発に働いていないことがよくわかります。このように脳の血流・代謝の低下がうつ病に関係している可能性は大いにあるといえます。

TMS治療では、背外側前頭前野を磁気刺激することで機能低下した脳の回復を行い、意欲・判断力・思考力の向上ともに扁桃体の過剰な活動を抑制し、うつ症状の寛解を目指します。
TMS治療(磁気刺激治療)の効果

CGI:臨床上の医師の印象による重症度と全般改善度を医師が7段階の評価で判定。
PHQ-9:うつ病に関わる9項目から抑うつの度合いを測定するための質問紙法です。
過去2週間の症状について4段階評価で回答。

対照群:プラセボ効果
適応疾患
適応一覧
安全性について
薬物治療でみられるような常用性や大きな副作用がほとんどありません。
電気けいれん療法などと違い、施術の前後に麻酔をするようなこともありません。医師の指示に従い適切な姿勢で治療ができれば、本を読んだり話をしたりもできます。個人差はありますが、磁気による局所の不快感、頭痛など不快感を感じる場合がありますが、多くの場合軽度なものです。

※磁気を利用した治療のため、ペースメーカーやインプラントを使用している方、頭に金属が入っている方、てんかんや頭蓋内病変の既往歴のある方、重篤な心疾患を有する方は治療が受けられません。
(出典)一般社団法人 日本メンタルヘルス研究センター