薬物療法

薬物療法の目的

精神科治療において、薬物療法と心理療法と社会療法の3つがそれぞれ重要な役割を持っています。薬物療法ではお薬を使った治療、心理療法ではカウンセリング、社会療法ではリハビリテーションや、社会復帰プログラムなどが挙げられます。
治療は症状のピークから始めることが多く、第一の目的は様々な症状の改善にあります。
第二の目的は、症状が安定した後の再発予防です。精神疾患の相当数が、再発性の疾患です。薬物の不用意な中断は再発に繋がりやすいです。したがって、病気を治すことを目的とするだけでなく、完治しなくてもより良い人生を歩めるようにすることも、薬物療法の目的です。

薬物療法で使用されるお薬の特徴

抗うつ薬

目的・効果

抗うつ薬は、脳内でモノアミンと呼ばれる神経伝達物質(神経細胞間を橋渡しをする物質)を増やす作用が認められます。うつ病の患者さんはモノアミンが減少していることから、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

うつ病以外にも、パニック障害や社交不安障害などの不安障害、強迫性障害などにも適応が認められています。セロトニンが増えることで、とらわれが少しずつ薄れていきます。
また、睡眠を促す作用のある抗うつ薬は、睡眠障害に使われることもあります。悪夢がみられるときは、レム睡眠を減少させる抗うつ薬が使われることがあります。

服薬期間

抗うつ薬は、飲み始めてすぐに効果が実感できることは多くありません。一般的には、効果が出てくるまでに2週間~1か月ほどはかかるといわれています。
抗うつ薬は、規則正しく服用することがとても大切です。もしもお薬を飲み忘れてしまったら、少しずれてもいいので必ず服用してください。
よくなるとお薬をすぐにやめたくなってしまうかもしれませんが、脳の神経伝達物質が安定するにはしばらく時間がかかりますし、治りたての時期はストレスにも弱いです。不安の病気では、無意識に苦手意識が残っています。
症状が本当に安定したのちに、生活の変化が少ない時期に少しずつ減量をすすめていきます。

種類

  • 三環系抗うつ薬
  • 四環系抗うつ薬
  • SSRI
  • SNRI
  • NaSSA

という分類がされています。

現在の主流は、比較的副作用の少ないとされるSSRIやSNRIやNaSSAになりますが、三環系抗うつ薬など古いタイプの方が優れた効果を発揮するケースもあるため、それぞれの患者さんに応じ、もっとも適切と判断されたものをお飲みいただきます。

三環系
  • アモキサピン(アモキサン)
  • ノルトリプチリン(ノリトレン)
  • アミトリプチリン(トリプタノール)
  • トリミプラミン(スルモンチール)
  • イミプラミン(イミドール、トフラニール)
  • クロミプラミン(アナフラニール)
  • ドスレピン(プロチアデン)
  • ロフェプラミン(アンプリット)
四環系
  • マプロチリン(ルジオミール)
  • セチプチリン(テシプール)
  • ミアンセリン(テトラミド)
SSRI
  • フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
  • パロキセチン(パキシル、パキシルCR)
  • セルトラリン(ジェイゾロフト)
  • エスシタロプラム(レクサプロ)
SNRI
  • ミルナシプラン(トレドミン)
  • デュロキセチン(サインバルタ)
  • イフェクサー(ベンラファキシン)
NaSSA
  • ミルタザピン(リフレックス、レメロン)

副作用

抗うつ薬の副作用は、抗うつ薬が脳内のターゲットとする神経伝達系だけでなく、他の神経系にも作用があることが大きな要因です。以下のような症状が抗うつ薬の一般的な副作用です。

  • 口渇
  • 便秘・排尿障害
  • 眠気
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 性機能障害

その他、抗うつ薬の投与早期や増量時には不安・焦燥や衝動性の高まりが見られることもあります。
副作用が実際にどのような症状としてどの程度、どのくらいの期間に、現われるのかは種々の要因が関与します。具体的には治療薬の種類、投与量、年齢、性別、薬物の代謝機能、そして身体疾患の有無などが複雑に関与し合うことで副作用の個人差を大きくしています。

注意点

うつ病が完全に治らない大きな原因の一つに、「もう薬を飲む必要がない」という自己判断による服薬中止があります。自分で治ったと思った時点では、脳内の神経伝達系の機能はまだまだ不安定です。自己判断による服薬中止はうつを再発しやすくします。必ず医師の指示に従って服薬をしてください。

抗精神病薬

目的・効果

抗精神病薬は、統合失調症の治療薬として開発されたお薬です。
そこにないものが見えたり、聞こえるはずのない声が聞こえてくる幻覚・幻聴や、誰も見ていないのに、誰かに見張られていると思い込んでしまう妄想、さらには、自分を見失っているほどの激しい興奮状態など、現実と非現実の境が不明確になってしまったとき、抗精神病薬が必要となります。

抗精神病薬はそれ以外にも、うつ病の増強療法で使われることも多く、エビリファイがその代表です。気分安定作用があるといわれています。このため、双極性障害のように気分の波がある病気に使われることも多いです。気分安定薬に比べると効果が早いですが、鎮静作用によって眠気が生じたり、体重増加の副作用が多いです。エビリファイの他には、セロクエル、ジプレキサ、リスパダールなどが使われます。
それ以外にも、イライラや興奮を落ちつけて衝動性を抑える、食欲を増加させる、睡眠を深くする、抗うつ剤の効果を増強する、といった目的で使われます。

種類

抗精神病薬には、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬に分けることができます。
定型抗精神病薬は、第一世代の薬物群。それ以降に開発された薬物群が非定型抗精神病薬で、現在はこちらが主流の治療薬になっています。治療薬は世代を経るごとに、脳内のターゲットによりピンポイントで作用するため、高い治療効果が得られると共に、副作用は少なくなります。

定型抗精神病薬
  • ブチロフェノン系:ハロペリドール(セレネース)・ブロムペリドール(インプロメン)・チミペロン(トロぺノン)など
    陽性症状に効果的、錐体外路症状や高プロラクチン血症が多い
  • フェノチアジン系:クロルプロマジン(コントミン)・レボメプロマジン(レボトミン)・フルフェナジン(フルメジン)・ペルフェナジン(PZC)など
    鎮静作用が強い、陽性症状の効果が乏しい
  • ベンズアミド系:スルピリド(ドグマチール)・塩酸スルトプリド(バルネチール)など
    穏やかに陽性症状に効果、高プロラクチン血症が多い
非定型抗精神病薬
  • SDA:リスペリドン(リスパダール)・パリペリドン(インヴェガ)・ブロナンセリン(ロナセン)・ペロスピロン(ルーラン)
    陽性症状に効果的、錐体外路症状や高プロラクチン血症が多い
  • MARTA:オランザピン(ジプレキサ)・クエチアピン(クエチアピン)・アセナピン(シクレスト)
    鎮静作用や催眠作用が強い、太りやすい・眠気が強い
  • DSS:アリピプラゾール(エビリファイ)
    副作用が全体的に少ない、アカシジアが多い・鎮静作用が弱い
  • SDAM:ブレクスピプラゾール(レキサルティ)
    副作用が全体的に少ない、アカシジアが多い・鎮静作用が弱い
持続性注射薬
  • ハロマンス/ネオペリドール(セレネースの持続注射剤)
  • フルフェナジンデカン(フルデカシンの持続注射剤)
  • リスペリドン(リスパダールコンスタの持続注射剤)
  • パリペリドンパルミチン(ゼプリオンの持続性注射剤)
  • アリピプラゾール(エビリファイの持続性注射剤)

内用液はすぐに服用することができるため、

  • 錠剤よりも効き目が早い
  • 錠剤よりも鎮静作用がある

といった特徴があります。

副作用

抗精神病薬の副作用は、治療薬がターゲット以外の神経系に作用してしまうために生じます。抗精神病薬の代表的な副作用は以下のとおりです。

  • 日中の眠気
  • 口が渇く
  • 起立性低血圧
  • めまい
  • 便秘・排尿障害
  • 不整脈
  • 性機能低下
  • 高血糖
  • 体重増加

頻度はそこまで多くありませんが重篤な副作用として、

  • 悪性症候群
  • 遅発性ジスキネジア
  • 麻痺性イレウス
  • アナフィラキシー
  • けいれん
  • 無顆粒球症
  • 不整脈

などがあります。

副作用の発現には個人的要因(投与量・投与期間・基礎疾患の有無・治療薬への感受性・他の薬物の有無など)が複雑に影響します。

抗不安薬

目的・効果

抗不安薬は、不安や緊張を和らげる薬です。日常生活に多大な支障が出るほど、不安や緊張が強い不安障害の場合に処方されます。 現在主に使われているのは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる抗不安薬になります。

抗不安薬は、頓服として使われることも多いです。頓服とは、必要なときに服用するお薬です。抗不安薬は即効性があるので、「このお薬があれば大丈夫」という安心感が持てることがあります。コントロールできているという感覚は、こころの病気を治療していくのに非常に重要です。

服薬期間

抗不安薬への依存の程度は、薬の種類、用量、期間などによりますが、数週間以上、毎日服用していると、薬に対する身体依存が形成されてしまいます。例えば、今まで以上の用量を服用しないと、今まで通りの薬の効果が得られなくなってしまいます。
依存の問題を防止するため、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、できるだけ短期間の服用が望ましいです。

種類

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の種類は、服用した薬の濃度が体内で薄まったことを示す「半減期」によって、短時間型、中間型、長時間型、超長時間型に分類されます。半減期が短ければ短いほど、迅速に血中濃度がピークに達し、その後、すみやかに血中から除去される薬と言えます。
不安症状に対しては、急に強まってきた不安症状に対しては、速やかに症状を改善させるべく、短時間型の抗不安薬が適しています。
また、不安症状が持続するような場合には、血液中の薬物濃度を安定に保つべく、長時間型の抗不安薬が適しています。

主なベンゾジアゼピン系抗不安薬

短時間型(半減期が3~6時間程度)
  • クロチアゼパム(リーゼ)
  • エチゾラム(デパス)
  • フルタゾラム(コレミナール)
中間型(半減期が12~20時間程度)
  • ロラゼパム(ワイパックス)
  • アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)
  • プロマゼパム(レキソタン、セニラン)
長時間型(半減期が20~100時間程度)
  • ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
  • クロキサゾラム(セパゾン)
  • フルジアゼパム(エリスパン)
  • クロルジアゼポキシド(コントール、バランス)
  • オキサゾラム(セレナール)
  • メダゼパム(レスミット)
  • メキサゾラム(メレックス)
  • クロラゼプ酸二カリウム(メンドン)
超長時間型(半減期が100時間以上)
  • ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
  • フルトプラゼパム(レスタス)
  • プラゼパム(セダプラン)

副作用

抗不安薬の副作用は、睡眠薬の副作用と基本的には同じです。
特に下記症状が顕著に現れることがあります。

  • 眠気
  • ふらつき
  • 離脱症状

これらは抗不安薬の主作用である、不安を軽減させ、緊張をほぐしてリラックスをうながすという効果の現れということも言えます。
また、高齢者の場合は、薬の副作用によるふらつきが原因で転倒して骨折するといったこともあり得るため、十分な注意が必要です。

注意点

過剰服用に注意が必要です。特に、アルコールのような他の中枢神経抑制薬を摂ってしまった場合は、十分な注意が必要です。中枢神経抑制作用が増強し過ぎてしまうため、呼吸中枢など生命維持に必須な部分までが止まり、命に関わる場合もあります。

肝機能低下など薬物代謝に悪影響を及ぼす身体的問題がある場合や、胎児への影響を考慮すべき妊娠中の方などは、服用に対して慎重になるべきことがあります。自分の身体についてしっかり主治医に伝え、最適な服用を心がけましょう。

睡眠薬

目的・効果

こころの病気では、睡眠が不安定になってしまうことは非常に多いです。
睡眠が十分にとれないと心身の疲労が回復せず、集中力低下や自律神経症状などにつながってしまう可能性があるため、睡眠の確保は様々な病気の治療で共通して重要になります。

種類

非ベンゾジアゼピン系:ゾルピデム(マイスリー)・ゾピクロン(アモバン)・エスゾピクロン(ルネスタ)

従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べると、翌朝への眠気の持ち越しやふらつき、倦怠感といった副作用が軽減されています。依存性も低いために、使い勝手のよい睡眠薬として処方が増えています。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬では、脳の活動を抑えることで睡眠をもたらします。少しずつウトウトしてきて眠りに入るというよりは、急に効いてきてストンと眠るような感覚です。

ベンゾジアゼピン系

超短時間型:トリアゾラム(ハルシオン)
短時間型:ブロチゾラム(レンドルミン)・ロルメタゼパム(エバミール)・リルマザホン(リスミー)・エチゾラム(デパス)
中間型:フルニトラゼパム(サイレース/ロヒプノール)・エスタゾラム(ユーロジン)・ニトラゼパム(ベンザリン/ネルボン)
長時間型:クアゼパム(ドラール)・フルラゼパム(ダルメート)・ハロキサゾラム(ソメリン)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類は、服用した薬の濃度が体内で薄まったことを示す「半減期」によって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分類されます。
半減期が短ければ短いほど、迅速に血中濃度がピークに達し、その後、すみやかに血中から除去されます。効き目が早く、体からすぐ抜ける薬だと言えるでしょう。寝つきが悪い場合は、作用時間が一番早い超短時間型の睡眠導入剤を入眠前に服用する事が適しています。

メラトニン受容体作動薬:ラメルテオン(ロゼレム)

体内時計のリズムを司っているとされているメラトニンの分泌を促すお薬になります。
メラトニンは20時頃から分泌され、深夜1~2時頃をピークに、明け方になると光を浴びて消えていくという物質です。年齢を経るごとに分泌量が減少するといわれていて、ロゼレムはこのメリハリをつけるお薬です。

オレキシン受容体拮抗薬:スボレキサント(ベルソムラ)

覚醒状態があるときに働いているオレキシンという物質の働きをブロックし、睡眠状態へスイッチを切り替えていくようなお薬です。

副作用

睡眠薬のタイプによって、副作用にも違いがありますが、主な副作用として下記症状が挙げられます。

  • 眠気(持ち越し効果)
    ※お薬が効きすぎて、眠気が朝まで残ること
  • ふらつき
  • 健忘
  • 反跳性不眠(離脱症状)
    ※長期間服用して体に慣れてしまい、お薬としての効果は薄れているのに、薬を減らすと不眠が強まってしまうこと

注意点

睡眠薬は、一人ひとりの症状に合わせて処方します。自己判断で飲む量を増減させたり、服用を中断したりせず、医師の処方に従って適切な薬を、決められた量で飲むようにしましょう。睡眠薬の効き目が悪いなど、不安や悩みがあればご相談ください。

睡眠薬とアルコールを同時に摂取すると、不安や焦燥の症状が現れる、おびえのような反応を引き起こす、攻撃的になるなど、副作用が強くなることが確認されています。
他の薬と同様、お酒と一緒に飲むのは避け、コップ1杯程度の水、もしくはぬるま湯で飲むようにしましょう。

気分安定薬

目的・効果

気分安定薬は、主に双極性障害(躁うつ病)の治療薬として使われることが多いです。双極性障害は躁症状とうつ症状を繰り返し、気分の波に振り回されてしまう病気です。
気分安定薬には、気分を落ちつける抗躁効果、気分を持ち上げる抗うつ効果、気分の波を小さくする再発予防効果が認められます。その結果として、気分の波の振れ幅を小さくする(うつ症状と躁症状を小さくする)、気分の波を少なくする(再発を減らす)という効果を期待します。

また、気分を落ちつける効果が期待できるため、イライラしやすかったり、衝動性が高まっている方に対して使われることがあります。また、脳の神経細胞の活動を安定させることから、片頭痛をはじめとした頭痛の予防効果も期待できます。

種類・副作用

気分安定薬としては、以下のようなお薬が分類されています。

炭酸リチウム(リーマス)

気分を鎮める抗躁効果、気分を持ち上げる抗うつ効果、気分の波を少なくする再発予防効果の3つをすべて持ち合わせており、特に再発予防効果が高いとされています。また、自殺予防効果が示されている唯一のお薬になります。
しかし、治療域と安全域が狭いため、中毒に注意が必要です。定期的に採血をして、血中濃度を確認しながら使う必要があります。
妊娠への影響も大きなお薬なので、妊娠の可能性がある方には注意が必要です。

主な副作用

口渇、めまい、眠気、言語障害、頭痛、不眠、脳波異常、基礎波の徐波化、知覚異常、記憶障害、焦燥感 など

バルプロ酸(デパケン、セレニカ)

抗てんかん薬として広く使われており、その中で気分安定化薬としての効果がわかってきました。片頭痛の予防薬としても使われています。
デパケンの特徴としては、気分安定薬の中では比較的安全性が高い点です。眠気の副作用が比較的多く、高アンモニア血症や肝機能障害には気をつける必要があります。また、妊娠への影響にも注意が必要です。

主な副作用

傾眠、失調、悪心、食欲不振、倦怠感、頭痛、過敏症、不眠、不穏、視覚異常、胃部不快感 など

ラモトリギン(ラミクタール)

難治性てんかんの治療薬として作られた比較的新しいお薬です。
ラミクタールには、抗うつ効果を期待することができます。気分安定薬の中で抗うつ効果が期待できる薬は少ないため、ひとつの有効な選択肢となります。
また、副作用が少なく、妊娠への影響も少ない薬です。ただ、重症薬疹(スティーブンスジョンソン症候群)の頻度だけ高いため注意が必要です。薬疹に注意しながら用法どおりに使っていれば、比較的安全性の高いお薬といえます。
ラミクタールは、うつ状態が中心の方には向いているお薬です。また、妊娠を考えている方にも向いているお薬です。

主な副作用

発疹、眩暈、胃腸障害、肝機能検査値異常、傾眠、嘔吐、嘔気、下痢、複視、貧血、脱毛 など

カルバマゼピン(テグレトール)

てんかんの治療薬としては広く使われているお薬です。デパケンと同様に気分安定薬としても使われていて、他にも三叉神経痛にも適用が認められています。
テグレトールは抗躁効果の強さが特徴的です。しかしながら副作用が全体的に目立ち、重篤な副作用のリスクも高いお薬です。重症薬疹や無顆粒球症などに注意が必要です。
テグレトールは、デパケンやリーマスでも躁症状を繰り返してしまう方に使われるお薬です。

主な副作用

眠気、眩暈、ふらつき、γ-GTP上昇、Al-P上昇、ALT上昇、運動失調、脱力、頭重、立ちくらみ、口渇 など

ADHDの治療薬

お薬自体にADHDの根本原因である脳の微小な機能障害を治せるわけではありませんが、ADHDの症状に深く関わるドパミンの異常を調整し、ADHDの症状を緩和させる作用があります。
現在ADHDの治療薬としては、下記3つのお薬が使われています。

  • 精神刺激薬:メチルフェニデート(コンサータ)
  • 非精神刺激薬:アトモキセチン(ストラテラ)・グアンファシン(インチュニブ、小児のみ)

これらのお薬の効果としては

  • 集中力の無さ
  • 過活動
  • 衝動性
  • 日中の眠気
  • 疲労感
  • 抑うつ状態

などを緩和させる効果が期待されます。

種類

メチルフェニデート(コンサータ)

コンサータはADHDへの適応が認められた精神刺激薬で、ノルアドレナリンとドーパミンの両方の働きを強め、主に脳内のドーパミンの働きを強めます。

服用しはじめると、1週間以内にその効果が現れます。。服用すると薬効が12時間続き、不注意、多動性、衝動性を改善します。
コンサータは1日1回朝に服用します。服用時間が遅くなると夜眠れなくなってしまうことがあるため、午後には服用しないように気をつけましょう。

処方できるのは処方医として登録された医師のみで、病院ならどこででも処方できるお薬ではありません。厳重な管理が必要です。

アトモキセチン(ストラテラ)

ストラテラは、主にノルアドレナリンの働きを強めます。コンサータよりも効果がマイルドで副作用も少なく、流通管理もないために使われることが増えています。

ストラテラには吐き気の副作用があるため、少量から少しずつ増量していきます。効果が認められるまでにも時間がかかり即効性はなく、安定するまでに6〜8週間程度かかると言われています。

グアンファシン(インチュニブ)

このお薬は従来のものと異なる作用の仕方で、神経伝達物質を増やすのではなく、受け取りやすくする働きがあります。
“効果の出方が速い”、“他のお薬との併用での増強効果が期待できる”、“依存性や乱用のリスクが少ない”、などのメリットがあり注目されていますが、現在のところ保険適応は6歳以上18歳未満と限られ、大人の方が使用する際には保険が適用されません。

副作用

  • 食欲不振
  • 不眠
  • 吐き気
  • 口渇
  • 体重減少
  • 頭痛・腹痛

など

抗認知症薬

効果・目的

根本的に病気を治すことはできないと言われていますが、使い方次第で認知症の症状をやわらげ進行を遅らせる効果が期待できます。
早期に薬物投与を始めると、より改善効果が高いことが分かっています。認知症を発症した後も、穏やかに暮らすためには、早期発見と早期治療が重要となっています。

種類

ドネペジル塩酸塩(アリセプト)

1999年10月の発売以来、日本における唯一の認知症治療薬として使われてきました。アルツハイマー病やレビー小体型認知症になると、記憶や思考に関わるアセチルコリンという神経伝達物質が不足します。アリセプトは、このアセチルコリンの分解を抑え、神経活動を高める働きをします。
また、認知症治療薬の中で唯一、軽度から高度まですべてのステージのアルツハイマー型認知症の人に使用することが可能です。認知症予備軍と言われるMCI(軽度認知障害)の人に対しても、進行を遅らせて発病を予防するのに有効です。

ガランタミン臭化水素酸塩(レミニール)

2011年3月に日本国内において2番目に発売されたアルツハイマー型認知症薬です。
レミニールは、アセチルコリンの情報を受けとる受容体と呼ばれる部分にも結合し、アセチルコリンやその他の神経の情報を伝える物質のはたらきを活性化します。その結果、認知症による言語障害が改善しやすいという特徴があります。
また、レミニールで分泌促進されるドーパミンにより、快・喜びの感情や運動機能を活発になり、手のふるえが改善したり、歩きやすくなったりと、パーキンソン症状を改善することがあります。

リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)

アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑制する薬であり、アリセプトやレミニールと同じアセチルコリンエステラーゼ阻害剤のひとつです。
ただ、アリセプトとレミニールでは阻害できないブチリルコリンエステラーゼの働きも同時に阻害できることから、すでにアルツハイマー型認知症がある程度進行し、脳内の神経細胞にブチリルコリンエステラーゼが増えてきた時期にあっても、中核症状への効果が期待できます。
貼り薬なので、嚥下機能に障害がある人や、拒否が強い等の理由で薬を飲むことが難しい人でも、問題なく投与することができます。

メマンチン(メマリー)

認知症治療薬として唯一、他の中核薬と併用が可能なお薬です。中等度~高度にかけてのアルツハイマー型認知症の治療に多く用いられます。
メマリーは、認知症の認知機能の障害を妨げるだけでなく、怒りっぽくなる、興奮する、攻撃的になる、徘徊するといった周辺症状の軽減効果も認められています。

副作用

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 下痢
  • 腹痛
  • 興奮
  • 不整脈
  • ふらつき
  • めまい

など

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