症状解説

摂食障害

摂食障害とはどんな病気?

摂食障害は主に食べることを拒んでしまう『拒食症』と反対に際限なく食べ続けてしまう『過食症』の2タイプがあります。この2つが交互にあらわれるケースが多く見られます。

拒食症

拒食症とは、摂食行動の障害となって現れる精神疾患です。特に心理的要因(ストレス)からくるものがとても多く、近年日本においても増加傾向にある病気です。主に10代~20代の女性、150人に1人が拒食症に悩まされているというデータがあります。原因としては、ダイエットからくるものがほとんどだとされています。判断基準としては、体重÷(身長×身長)で求められるBMI指数で肥満度・重症度を判断します。BMIが17kg/㎡を下回ると軽度、15kg/㎡を下回ると最重度の拒食症で、最悪の場合になると入院の可能性も出てきます。

過食症

過食症は、「神経性大食症」とも呼ばれ、一種の摂食障害です。過食症には、食べた分だけ吐き出す”過食嘔吐”と、まったく吐かずに食べ続けるケースがあります。
過食嘔吐は、食欲のコントロールができなくなり我を忘れて食べ過ぎてしまう症状です。その後、「なぜ食べてしまったんだろう」と罪悪感や嫌悪感を抱き、このことをなかったことにしようと意図的に吐きます。また、早く体から出すために下剤を使用する方もおられます。食べた分、吐いてしまうため見た目では変わることがあまりなく、周りからは気づかれにくいです。また、次第に吐くことに慣れていき、「多少食べ過ぎても吐ける」という意識から過食がエスカレートすることも見受けられます。吐くことが日常的になると、胃酸により食道が荒れます。そして、胃酸が口腔内まで逆流すると歯がぼろぼろになる可能性があるため、身体へのダメージも現れていきます。下剤の使用も長引けば腸の運動を鈍くさせ、排便状態にも影響を与えてしまいます。
吐かずに食べ続けるケースは、食欲のコントロールができなくなり我を忘れて食べ過ぎてしまいます。短い間隔で大量に食べ物を摂取してしまうことに対して精神的にも身体的にもストレスとなり、それが引き金となってさらに過食をしてしまいます。過食嘔吐とは違い、意図的な嘔吐や下剤を使用しないため、どんどん体重が増加し周囲の人も気付きやすいことが特徴です。体型の変化に対して心身ともにストレスとなり、過食が止まらなかったり自身への嫌悪感などで家からの外出ができなくなったりと精神の不安定を引き起こしてしまいます。

摂食障害に類似している異食症について

摂食障害群に含まれる異食症は、栄養価のないものや食べ物ではないもの(髪の毛や土、紙など)を定期的に食べてしまう病気です。発達上2歳未満にこのような行動が見られた場合は正常とみなされますが、2歳以上で起きた場合、1か月以上食べ続けると異食症と診断されます。これはストレスが原因と考えられています。また、無理なダイエットなどにより栄養不足の状態に陥ると味覚に大切な亜鉛も不足することから、土に含まれている亜鉛を欲してしまうといったケースもあります。他にも氷を食べてしまう方は鉄が不足していることがわかっており、メカニズムまではわかっていませんが、栄養不足からなる異食症の対策としては栄養をしっかり摂取することが第一です。ストレス・栄養不足以外の場合としては他の精神疾患(自閉症、知的能力障害、統合失調症など)や認知症を患った方に併発することがあります。硬いもの石などを食べることにより消化管が切れたり、消化されにくいものを食べることにより腸が詰まることで、嘔吐や吐血・下血が発見されることもしばしばみられます。子どもの場合であれば手の届く範囲に置かないことやできるだけ監視をすること、大人であればきちんと栄養を取ることなどを実施してください。改善しない場合は、ストレスなどから始まっているケースが多いため、心療科など受診をするのもご検討ください。

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摂食障害の原因

摂食障害は女性、特に若い女性に多く見られます。摂食障害の原因は無理なダイエット以外にも、両親の別居や離婚などの家庭環境によるストレス、職場や学校の環境や人間関係などからくるストレスなど、日々の生活の中で受ける強いストレスが摂食障害を招くケースは少なくありません。
特に職場で業績を上げろと責め立てられたり、過労からドカ食いに走って過食症におちいったり、親の干渉や受験に対するプレッシャーから拒食や過食などの障害を引き起こすことが多いと言われています。また思春期の女性の場合は体重が増えることに対する恐怖感が摂食障害の引き金になるケースがあります。夜中に無意識に食べてしまい、そのことを朝覚えていない「睡眠関連摂食障害」や、夕食後~寝る前に過食してしまう「夜間摂食症候群」という病気も最近は増えています。

摂食障害は、ダイエットの失敗というような単純なものではなく、ほうっておくとこころも体も病み疲れて、死に至ることもあります。とくに拒食症の場合、標準体重の60%以下にやせが進むと、低栄養による腎不全や低血糖、電解質異常による不整脈、結核などの感染症など、重い合併症を起こしやすくなります。 また、両タイプとも、アルコールや薬物への依存や抑うつ、怒りっぽい、人格障害などの精神疾患を合併しやすく、万引きや性的に奔放になる、自傷行為や自殺を図るなど衝動的な行動が多くなります。治療を進めるにあたってはとても難しい病気とされ、まず患者さんとの人間関係の構築から、身体や精神状態や行動異常を的確に把握する必要があります。重度になればなるほどに難しいとされるため、やはり早期発見から早期治療がとても重要とされています。

摂食障害になりやすい人

家庭環境や職場環境など原因は上記に記載した通りですが、個人の性格によっても摂食障害を引き起こす可能性は異なります。

ストレスをうまく解消できない人

主な原因はストレスです。ストレスは同じ環境下におかれても感じる人と感じない人がいます。また、ストレスと感じても解消できる人と引きずる人がいたりします。対処が苦手な方は摂食障害になりやすいといわれています。

完璧主義な人

考え方が0か100であり「~しなければならない」や「~であるべきだ」といった意識が非常に強いため、違うことが起きてしまうと認めることができず自分自身を追い込んでしまいます。例えば、ダイエットを始めて順調に体重が減っていたのに、ある日わずかに体重が増えたことが認められず「痩せなければならない」と感じてしまい、拒食症になってしまうケースがあります。

自分に自信がない人

いつも自分を「人よりも劣っている」と自己評価が低い人は、自分のコンプレックスに対して敏感になっているケースが多いです。また、人から嫌われたくないため普段は良い子、良い人として行動していますが、人目につかないところで拒食や過食を行っていることがあります。

摂食障害の症状

  • 食べたあとトイレで吐く
  • 嫌なことがあると、過食してしまう
  • 食べ物の事が頭から離れず勉強や仕事が手に付かない
  • 食べ出すと止まらない
  • 一人分の食事量がわからない
  • 吐きだこがある
  • 他人を見ると自分よりも細いかどうかばかり気になる
  • 周囲から痩せているといわれるのに自分では太いと思ってしまう
  • 食べ終わった後に罪悪感を感じる
  • 太ることに対して恐怖心が襲ってくる
  • 炭水化物の食事を避けようとしている
  • 身体の病気は特に思い当たることがないのに急激に痩せてきた
  • 食べ物のカロリーのことばかり気になる
  • 体が食事を拒絶してしまう
  • 食べた後になぜかいつも嘔吐したくなる

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当院での治療方法

摂食障害(過食症・過食嘔吐・拒食症)は心の病気と言われますが、極端なダイエットや偏った食生活、嘔吐や下剤の乱用などでカラダに様々な悪影響を起こしているため身体の治療も非常に大切です。
一般的には、心療内科などで投薬治療や心理士によるカウンセリングが行われており、症状が重い人には入院による治療も受けられます。

1薬物療法

神経性過食症や神経性やせ症(拒食症)のいずれの摂食障害に対しても、ある程度の効果を見込む薬剤はありますが、これを摂取すれば完治するといった内容の薬剤はありません。
しかし、一人ひとりの抱える症状や病状の段階を判断して、その時に応じて適切な薬剤を選択し服用することで徐々に症状を緩和することができます。そのため、完治に向けてサポートすることは期待できるでしょう。
例えば、抑うつ症状や激しい落ちこみ、食べ物に対する執着心などを和らげる働きを期待する「抗うつ薬」や、イライラして落ち着かない、他人と会うと緊張してしょうがない、冷や汗が出て止まらないなど、不安な気持ちが引き起こす諸様々な症状に対して「抗不安薬」を使用することがあります。また、摂食障害が生み出す感情の激しい揺れや衝動的な感情・行動に対して、緩和する働きのある「抗精神病薬」、不眠気味、寝つきが悪い、夜間の過食がやめられないといった人には「睡眠導入剤や睡眠薬」など、患者様の症状や状態に合わせて処方します。

2心理士によるカウンセリング

摂食障害患者に大きな影響を与えている人との関係性に注目し、わだかまりやトラウマを見つけて自尊心を育てるカウンセリングで治療をすすめます。摂食障害は、精神の疲れが影響している病気の一種であり、「自分に自信がもてない」「人に気を遣いすぎる」などの傾向にあるため心が疲れやすく、その逃げ道として摂食障害が起こることが多いのです。改善するためには、根本的原因に働きかけるカウンセリングが有効だとされています。

家族や身近な方々へ

摂食障害の治療には周りの方々のサポートが必ず必要になります。摂食障害は発症する方は、環境や人の行動に敏感で繊細なため、非常にストレスを抱えやすい性格です。そして、自分の気持ちや感情を表すことが苦手で、溜め込んだストレスをどのように吐き出せばよいかわからない方が多い特徴があります。治療は長い期間を要するものであり、成果がすぐに出ないことがあります。そのため、本人や周囲の方は大変な思いをすることもあるかと思います。お互いにストレスを感じにくい環境を作ることが重要となるでしょう。

成長する上で10代と20代では自分が置かれている環境が異なります。10代は一般的に同居のケースが多いと思います。そのため、一緒にいる時間が多いぶん無理に食べさせようとしたり、監視をしたりしてしまいがちです。しかし、本人にとってプレッシャーに感じる可能性があります。直接的な話は心理カウンセラーに任せて、改善した点をほめたり今の悩みを聞いてあげましょう。一方で、20代は親元を離れ一人暮らしをしているケースが多いかと思います。このような場合、同居に比べて症状の発見が遅くなります。また過食症の場合は、家族に言えないまま過食費用が増えていき、その現状に対してさらに嫌悪感や罪悪感が増してストレスになることがあります。無理なアルバイトや借金をするケースもみられます。それに対して怒るのではなく、状況を把握し経済面のサポートをすることで本人の不安が減るきっかけになり得るのです。どちらにも共通して言えることは本人が安心して寄り添える環境を作ることが重要です。また、ご家族の方は決して自分の責任だと思わないでください。これからどうすれば良い方向に進んでいけるかを考えていくことが重要であり、その姿勢が本人にとって心強い支えとなるでしょう。

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ご来院いただいた後の注意点

出来るだけ嘔吐はしないようにしてください。また、3食はきちんと摂取し、よく噛んでゆっくり食べるように心掛けてください。

薬をお出しした場合は、症状が良くなったと思い、患者様の判断で薬を飲むことを止めてしまったために、ふたたび症状が重くなってしまうことが良くあります。飲んでいただく薬の量は患者様の状態を見極めた上で調整していますので、飲む量・回数はお守り下さい。

摂食障害チェックシート

  1. 食べ物のことばかり話題にする
    はい ・ いいえ
  2. たくさん食べているのに、すこしも太らない
    はい ・ いいえ
  3. 食べたあと、必ずトイレに入って吐かずにいられない
    はい ・ いいえ
  4. いやなことがあると(ストレスがかかると)、たくさん食べたくなる
    はい ・ いいえ
  5. 食べ物のことが頭からはなれず、勉強や仕事などだいじなことが考えられない(手につかない)
    はい ・ いいえ
  6. ふと食べ物を目にすると、食べたい衝動にかられて止まらない 
    はい ・ いいえ
  7. 「食べだすと止まらない」とか「食べだしたら止めてね」と言う
    はい ・ いいえ
  8. 食べたあと、自己嫌悪な気持ちになり、ふさぎこんでいる
    はい ・ いいえ
  9. 言いたいことがうまく言えない。
    とくに「ノー」を言うのが苦手で、もやもやした気持ちを持ち続けている。
    はい ・ いいえ
  10. 他の人から「やせているね」と言われても、「太っている」と思う
    はい ・ いいえ
  11. 食べた後うまく吐けないと「太る」恐怖感にさいなまされる
    はい ・ いいえ
  12. 「自分がきらい」「良いところは一つもない」と、自己否定感が強い
    はい ・ いいえ
  13. 「迷惑をかけている」「申し訳ない」など、気づかい発言が多い
    はい ・ いいえ
  14. なんでも完璧にやらないと気がすまない性格だ
    はい ・ いいえ
  15. 自分を抑え、まわりにあわせる気づかいが強い
    はい ・ いいえ
  16. どれだけが一人前の食事の量なのか、わからなくなってきた
    はい ・ いいえ
  17. 自分で料理をつくるが、母親に食べるよう強くすすめたくなる
    はい ・ いいえ
  18. 食材を買うのにお金がかかり、他の物を買う余裕がない
    はい ・ いいえ
  19. 体重計にのって「10g増えた、減った」と、一喜一憂する
    はい ・ いいえ
  20. 顔色が悪く、最近急激にやせてきた(まわりが気付く)
    はい ・ いいえ
  21. だんだん体重が減っていくと、気分が爽快になる
    はい ・ いいえ
  22. 痩せている自分を鏡でみるのがひそかな楽しみである
    はい ・ いいえ
  23. 「やせているね」と」言われても信じられず、「太っている」と思いこんでいる
    はい ・ いいえ
  24. やせてきたのに身体の病気がみあたらない
    はい ・ いいえ
  25. 食物のカロリー値をよく知っている
    はい ・ いいえ
  26. カロリー値の低いもの(ヨーグルト、春雨、わかめ、きゅうりなど)ばかり食べる
    はい ・ いいえ
  27. 食べたあと「太るのではないか」と恐怖心が襲ってくる
    はい ・ いいえ
  28. 料理を作る前は電子ばかりで材料のグラム数をはかっている
    はい ・ いいえ
  29. お茶碗いっぱいの御飯が、なかなか食べられない
    はい ・ いいえ
  30. カロリーや炭水化物の多い食物(肉、卵、ごはん、じゃがいも等)は避けている
    はい ・ いいえ
  31. お弁当(給食)を食べるのが遅い、またはよく残す
    はい ・ いいえ
  32. カロリーを消費してやせようと、たえず身体を動かして運動している
    はい ・ いいえ
  33. 内科医で検診を受けるのがだいきらい
    はい ・ いいえ
  34. 点滴をうけるのは、死ぬほどいや
    はい ・ いいえ

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