月経前症候群(PMS)/ 月経前気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)とはどんな病気?
月経前症候群(PMS)は生理の1週間ほど前から、下腹部や乳房の痛みなどの身体的な症状、いらいらや憂うつなどの精神的な症状が現れ、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。原因ははっきりとは分かっていません。一説には生理周期半ばあたりの排卵期を過ぎる2つの女性ホルモンの分泌量が急激に変化し、脳の中枢(視床下部)がそれに対応しきれなくなることで、PMSのさまざまな不調が起こるのではないかと考えられています。視床下部は自律神経の中枢でもあるため、視床下部が対応しきれなくなると自律神経が乱れ、血流が悪くなって頭痛や肩こりが起きたり、腸の働きが乱れて便秘や下痢をもたらします。視床下部は食欲や五感にも関わっていることから、食欲が異常に増したり、においに敏感になったりします。感情を司る中枢とも隣り合っているため、イライラや憂うつ、無気力、不安などの精神症状も現れます。また、排卵後の黄体期に分泌される女性ホルモンには水分をため込む働きがあるため、むくみが生じたり、倦怠感を覚えたりすることもあります。症状の現れ方や程度にはかなり個人差がありますが、複数の症状が重なって現れるケースがほとんどです。
月経前症候群の症状は身体面にあらわれるもの・精神面にあらわれるもの、軽いものから重いものまで150種類以上あるといわれています。また、症状があらわれるタイミングも、生理2週間前からあらわれる人もいれば、2,3日前に集中して症状があらわれる人もおり、1人1人の患者様によって、大きく違いがあります。
月経前気分障害(PMDD)とはどんな病気?
月経前気分障害 (PMDD)とは、月経1~2週間前から、 強い気分の落ち込み・意欲の低下・イライラや怒りっぽくなる・情緒不安定・集中力の低下・理由のない不安感や緊張感・睡眠過多や不眠・流涙 などの精神的症状が「日常生活に支障をきたすレベル」で出現し、月経が来ると良くなる状態を指します。
PMDDは、PMSと同様に生理前の約2週間に限ってその症状があらわれる特徴があります。そのため、基礎体温を毎日つけることで自分の症状がPMDDやPMSであるか判断しやすくなります。
PMSとPMDDの違いは、厳密に区別することが難しい場合もありますが、月経前に心身の不調が出現するPMS(月経前症候群)と似ていますが、PMSの場合は精神症状だけでなく下腹部痛・腰痛・頭痛・めまい・肩こり・むくみなどの身体的症状も伴っており、精神的症状の深刻度合いがPMDDに比べて軽いという違いがあります。
月経前症候群(PMS) / 月経前気分障害(PMDD)の主な症状
精神的症状の深刻度合いが高いほど、月経前気分障害(PMDD)の可能性が高まります。
精神症状
- ゆううつな気分
- イライラして怒りっぽい
- 不安
- 感情の起伏が激しくなる
- 集中力の低下
- 無気力
- 過食傾向
- 自制ができない
身体症状
- 腰痛
- 下腹部痛
- 乳房の張り
- むくみ・全身倦怠感
- めまい
- 頭痛
- のぼせ、ほてり
- 冷え
- 便秘
- 睡眠障害
- 関節痛・筋肉痛
治療方法
食生活の改善、十分な睡眠、有酸素運動、マッサージやリラクゼーションなどのセルフケアだけで十分な効果が得られない場合や、症状がつらく早く改善したい場合は、お薬による治療や、心理士によるカウンセリングが必要になります。
当院での治療は、漢方薬での治療が主体となります。また、抗不安薬と頓服薬(一時的に重くなった症状を抑える薬)を併用しての治療も多いです。
また、重い症状が続く患者様には、婦人科での治療(ピルなどの避妊薬を使用した治療)をお勧めしています。(必要な場合は、婦人科への紹介状もお出しいたします。)
1漢方薬での治療法
漢方医学では人体も自然の一部であり、自然のサイクルから外れると人体に異常が出てくると考えられています。人間の体は「気・血・水」の3要素で構成されていて、どれか一つでもバランスが崩れると不調が出てくるのです。
月経前症候群の場合は血(けつ)が乱れていることが多いと考えられています。
食生活の改善、十分な睡眠、有酸素運動、マッサージやリラクゼーションなどのセルフケアだけで十分な効果が得られない場合や、症状がつらく早く改善したい場合は、お薬による治療や、心理士によるカウンセリングが必要になります。
2薬物療法
PMDDは低用量や超低用量ピルによる治療が有効な場合が多いのですが、症状の程度や年齢に応じて、漢方を使ったり、抗うつ剤や安定剤を用いる場合もあります。PMDDと思われる症状や、またPMSの精神的症状の治療に効果的と言われているのがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ剤の一種です。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することで抑うつ症状を改善する薬で、黄体ホルモンや卵胞ホルモンなどの作用によって低下していると考えられるセロトニンをおぎなう作用があります。副作用として気分が悪くなり吐き気がするなどの症状が現れることもありますが、1~4週の服用継続で消失することが多いため、服用する場合は一定期間試してみる必要があります。
PMDDでも、比較的症状が軽ければ漢方治療も選択肢の一つですが、SSRIを用いた治療が推奨されています。
3心理士によるカウンセリング
月経前にくる不安感や、憂うつ感、イライラなどをカウンセリングの中でお話することで症状を軽減しましょう。
ご来院いただいた後の注意点
症状が良くなったと思い、患者様の判断で薬を飲むことを止めてしまったために、ふたたび症状が重くなってしまうことが良くあります。飲んでいただく薬の量は患者様の状態を見極めた上で調整していますので、飲む量・回数はお守り下さい。
月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)チェック
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感情が不安定になるはい ・ いいえ
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いらだち、怒りの感情があり、対人関係でいさかいが増えるはい ・ いいえ
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うつっぽさ、絶望感を感じ、自分に批判的になるはい ・ いいえ
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不安、緊張、高ぶっているという感覚があるはい ・ いいえ
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仕事・学校・友人関係・趣味に対しての興味が減るはい ・ いいえ
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集中力が低下するはい ・ いいえ
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疲れやすく、気力がわかないはい ・ いいえ
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食欲が増したり、特定の食べ物を食べたくなるはい ・ いいえ
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過眠または不眠になるはい ・ いいえ
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圧倒される、または自分をコントロールできない感覚があるはい ・ いいえ
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乳房の痛みや張り、関節痛や筋肉痛、頭痛、むくみ、体重増加などの身体症状があるはい ・ いいえ
「はい」が4個以上当てはまる場合、PMS/PMDDの症状をお持ちの可能性があります。
お困りの方は医療機関でご相談していただくことをお勧めします。
たわらクリニックの紹介
たわらクリニックは一人一人の患者様のご状況に合わせてオーダーメイドでの診療を行います。 心身に異変を感じたら、お気軽にお電話などでご相談ください。